お米屋さんって?
一昔前はお米は販売業者が決まっていて、お米を買う際はお米屋がお米を販売する事が決まっていました。
お米に限らず、お酒を売るのも同様で、スーパー等でお米を販売する事もお酒を売る事も一部のお店以外では出来ませんでした。
稲作は自給自足を目指す日本の農産業の中でも特別な存在であった為に、お米を作る農家さんも、お米を作れば国が買い取ってくれる制度が出来上がっていた為に、美味しいお米を作る努力をしなくてもお米を作れば国の保障があった為、美味しいお米を作る努力をしなくても良いという風潮がありました。
そんな国の制度に異を唱えたのが城南電機の故宮路社長でした。
米不足の時期に、お米屋さんだけがお米を販売する様な形式はおかしいと異を唱え、それに反発する農家さんやお米屋さんの存在があったのは言うまでもありません。
既得権益を失いたくない側にしてみれば競争という世界に放り込まれて努力をしなければお店の営業がままならなくなってしまう様な状態を恐れる人達と、競争してでもより良いモノをお客様に提供させて頂きたいと考える側では意見が分かれます。
米不足の渦中の中、農家さんから直接買い入れるお米は【闇米】と呼ばれ、闇米の仕入れをして販売するのはお米の問屋からバッシングをされてしまい、取引自体が出来なくなる様な状態でした。
20年以上も前の話しになりますが、米工房かどやでは【有機栽培】や【無農薬】のお米、そして直接農家さんとやり取りをさせていただいて、美味しいお米を提供させてもらえれば、お客様が喜んでもらえるのではないか?と考えましたが、一個人のお米屋がそれをしても今の様にインターネット環境が整っていない為、多くの人に知ってもらう事が出来ず、断念していました。
お米を農家さんから直接買い入れる方にしてみればお米屋さんって一体何の為にあるの?という疑問もあると思います。
お米屋さんなんて無くても農家さんから直接買い入れれば良いし、スーパーでもお米は売ってるし…
そんな方にお米屋って一体何の為にあるの?という疑問にお答えしてみたいと思います。
一昔前のお米屋の存在意義
一昔前は『農家はお米を作る所』であって『お米屋はお米を精米する所』という認識がありました。
農家さんはおいしいお米を作る事に精を出しますが精米の技術に関してはお米屋さんの方が上という認識です。
今の様に精米機が小型化されず、精米所があまり設置されていない状態なので玄米で農家さんからお米を買っても白米等で食べる機会が中々なく、農家さんから直接買い入れをしている方も米俵の中には石やゴミが多く交っていた為、精米機を持っているお米屋さんの力を借りなければなりませんでした。
しかし時代と共に精米機が小型化され、精米所も近所にある方も増え、お米を精米する事でお米屋は存在意義を持っていましたが誰にでも気軽に精米出来る時代が来た為に以前ほどお米屋さんの存在意義が薄れていきます。
お米を精米する所として存在していたお米屋さんに米不足騒動で城南電機の宮路社長がお米の販売を電気屋さんでもやってしまうという離れ業を行いお米屋さんが精米技術を持っているという存在意義は薄れていきます。
現在のお米屋さんの存在意義
現在のお米屋さんはお米の精米技術を提供する所ではなく、お米に関する知識や分づき等のお米の新たな食し方を提供出来る、言わばサービス業として成り立っています。
ワインのソムリエがワインに対しての知識を提供し、ワイン選びで悩んでいる方に食事に合うワインを提供するかのように【お米ソムリエ】の存在も近年では浮き上がって来ました。
お米の販売所が多様化され、お米屋さんはお米の専門家という【お米に関する知識】をお客様に提供させて頂く場所として業種は同じながらお客様へ提供出来るサービス内容が変化していきます。
人それぞれに食事の好みがある様に、お米の好みも人それぞれにあり、食卓に並ぶご飯の味へのこだわりを持つ方が増えた事からお米屋さんの存在意義は【より良いモノを求める人へのサービス業】として変化して来ています。
その為、現在のお米屋さんの存在意義はお客様一人一人の好みに合わせたお米を提供出来るかどうかというお米の知識やお客様の好みを聞きだし、それに合わせたお米の販売をさせて頂く業務となって来ています。
精米技術を販売する所からお米に関する知識を販売する所、ギフト等のお米+αのサービスを提供するお米屋さんとお米屋さんと一言で言ってもお米屋さんの業務は変化して来ています。
お米屋さんの未来
最近では米食よりもパン食を好む若者たちが増え、お米の消費量は以前よりも減って来ています。
食事を1日3食取らない若者も増え、お米の需要は以前よりも減っているのも事実としてあります。
しかし、そうした時代の変化があってもお米パンやライスミルク等、お米の食し方の変化を持たせ、お米を作る農家さんへは国の支援もある事や若者の農業への関心が高まっている事からお米自体がなくなる事は考えられません。
お米の需要は時代と共に変化してはいますが、ご飯としてのお米ではなく違った形でお米が求められている以上、お米屋さんもなくなる事は考えられません。
健康志向の風潮もあり、有機栽培や無農薬のお米への関心も高まり、より良いお米を作ろうとする農家さんと、そのお米を取り扱う事が出来る情報網や農家さんと直接やり取りをさせて頂き、農家さんが一生懸命に考えた末に生産された美味しいお米を販売出来るお米屋さんは時代に取り残される事なく『より良いお米を求めるお客様』がお米屋さんを求めて頂けます。
お米の知識だけではなく、より良いお米を扱っている農家さんに対するアンテナの立て方と【本当においしいお米を見抜く力】がお米屋さんには求められ、それらを多くのお客様に提供していく事が出来ればお米屋さんは時代に取り残される事がありません。
そして、そのお米屋さんは【商売繁盛】を求めるお米屋さんではなく【如何にお客様に良いお米を提供出来るのか?】という部分に焦点を当てているお米屋さんであって、商売の基本である【お客様が喜ぶ顔を見たい】という経営方針であればお米屋さんの提供出来るサービス内容も未来ではまた変わっていくものだと思います。
米工房かどやでは有機栽培や無農薬のお米を取り扱っていますが、根本的な部分はお米を購入して下さった方の食卓が笑顔で溢れる事を望んでいます。
美味しいお米だったよ。
という一言を頂く為のお米屋さんを目指して今後ともご愛顧頂ける様に更なるおいしいお米を販売させて頂く様心掛けさせて頂きます。
カテゴリー: 日記